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亡者

Inferi

 インフェリウス (複数形はインフェリ) と呼ばれる亡者は、闇の魔法使いの呪いによって生き返った死体である。亡者はおぞましい操り人形となり、渦中の闇の魔法使いに使い捨ての奴隷として使われることもある。亡者と生きている人間の明白な違いは、白く曇った目である。

 人間の死体を生き返らせるのに使われる呪文は、例えば無生物の物体を飛ばす呪文などと比べれば、ずっと複雑である。 亡者は、何者かに妨害されれば死に到らしめるようやり返し、無差別に殺し、主人のために極めて危険な仕事を引き受けるために呪われるのだろう。 ただ、その限界は明らかである。意思も脳もなく、予期せぬ窮地を脱する術を考えることもできない。しかし、自らの安全を惜しまない戦士や番人としての使い道は多い。

 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』でハリーとダンブルドアが湖の底で直面した亡者たちは、一部は理由も分からず「消えた」魔法使いや魔女の遺体であったが、ほとんどは生前はマグルの浮浪者、ホームレスで、ヴォルデモートが最初に力をつけ始めたときに亡者にするために殺されてきた者たちだった。
 闇の魔術に半永久的に保存されている亡者は、炎によってのみ滅ぼすことができる。死体に対する防火呪文が見つかっていないためである。そのため、亡者は主人によって炎を避けるように魔法がかけられている。


J.K. ローリングのことば
 亡者はゾンビと多くの共通点がありますが、ハリーの世界では別物として言及されています。私が分霊箱のロケットを守る者たちを「ゾンビ」と呼びたくない理由はいくつかあります。まず、ゾンビはイギリスの民謡には登場せず、ハイチとアフリカの一部と関係のあるものだからです。ホグワーツの生徒はゾンビのことを学びますが、ホグズミードの通りを歩いていて遭遇することはありません。次に、ヴードゥのゾンビの慣しは、蘇った死体と全く同等と言って差し支えないのですが、関連する言い伝えでは、魔法使いがその魂や魂の一部を利用して自分自身の生命を維持するとしています。これは私の分霊箱の話と矛盾するうえ、ヴォルデモートが亡者を分霊箱の番人とは別の使い道に使っていたことを暗示したくはなかったのです。最後に、ゾンビはこの50年間映画の中でかなり頻繁に描かれ再解釈されてきたために、ゾンビと聞いて連想されるものが大量に生産されてしまい、私にとってはもう使い道がなくなったのです。私はスリラー世代なので、いつだってゾンビといえば明るい赤のブルゾンを着たマイケル・ジャクソンなのです。

 インフェリウス (亡者) という名前はラテン語で「下に/下位に/下方に」という意味の「Inferus (インフェルス)」をもじったものです。これには明らかに、生きている人間「以下」という意味が含まれています。「インフェリ」はあの世を意味しています。



著: J. K. Rowling/訳: MORE 4 JP

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